

What is Face changing?
中国伝統芸能「変面」について
中国伝統芸能の絶技
変面の世界
瞬時にお面が変化する「変面(へんめん)」は、観る者を圧倒する中国伝統芸能の妙義です。ここでは「中国伝統芸能の絶技」と称されるその神秘的な魅力や、変面の歴史・文化をご紹介します。

01
歴史と由来「川劇」と「変面」

川劇と共に歩む、変面の進化
変面の母体である「川劇(せんげき)」は、300年以上の歴史を誇る四川省の伝統劇です。そのルーツは明清時代の民間劇や、魔除け・祈祷を行う宗教儀式(傩戯/だぎ)にまで遡ります。
変面の起源には諸説ありますが、山中で野獣に遭遇した人々が、身を守るために顔を色鮮やかに塗り分けたり、お面を素早く取り替えたりして獣を驚かせたという説もあります。
こうした「生きるための知恵」としての仮面が、長い年月をかけて洗練され、舞台芸術へと昇華されていきました。
また20世紀初頭、川劇の名作『帰正楼』の中で、舞台上で瞬時に面を変える技法が確立。その後、多くの名優たちが創意工夫を重ね、現代の華麗なスタイルを確立していきました。

中国無形文化遺産への登録
川劇(変面を含む)は、その卓越した歴史的・文化的価値が認められ、2006年に中国の「国家級非物質文化遺産(無形文化遺産)」に登録されました。

「帰正楼」の一場面

02
変面の文化的価値と本質

心情を映すお面
変面の手法は、単に「お面変えマジック」として生まれたのではありません。物語の劇的な展開を支える「演出手法」として歴史の過程で発展し、活用されてきました。言葉や仕草だけでは伝えきれない「喜怒哀楽」や、登場人物が人知を超えた存在に変貌する様子を視覚的に表現するため、役者の顔を瞬時に変えるというこの驚異の技法が編み出されてきたのです。


形で神(心)を伝える(以形伝神)
「目に見えるお面の変化で、目に見えない登場人物の複雑な心の動きを伝える。」 これこそが変面芸術の本質であり、東洋美学の「写意(本質を描く)」精神の極致とも言える、芸術性に優れた点です。

五感を揺さぶる演出
パフォーマンスとしての圧倒的なスピード感と、目を離せない状況の変化、躍動する音色、表現技法が一体となり、観る者を息もつかせぬ興奮と感動の渦へと誘います。




03
変面の伝承
一子相伝から師弟制へ

心情を映すお面
変面は長年の間、「伝男不伝女(家族の中の男の子にしか教えられない)」とされ、その技術や教えは、古くから「門外不出」の秘伝として、継承者の間でも厳重に守り伝えられてきました。
現在では時代の変化と共に師弟制が一般的となり、師匠から弟子へ、この技と文化が継承されています。また女性でも演じられるようになっています。


04
伝統から現代へ
現代エンターテイメントとしての役割


世代を越えて夢中になる芸能へ
かつては物語劇の一場面の中でしか演じられていなかった変面ですが、現在はその枠を超え、独立した「変面ショー」として広く親しまれるようになりました。色彩変化に優れたお面はもちろん、子供たちに人気のキャラクターや動物をモチーフにしたお面など、親しみやすいビジュアルを取り入れた演出も登場し、「驚き」と「親しみ」を掛け合わせた進化 を続けています。

国境を越えた広がり
変面は言葉を介さずともその凄さがダイレクトに伝わる「ノンバーバル(非言語)」なエンターテインメントです。その高い芸術性と神秘性は、日本をはじめ世界各地で人気を博し、国境や老若男女の世代を超えて、多くの熱狂的なファンを生み出しています。


伝統と革新の融合
伝統を重んじながらも、現代の音楽やダンス、異分野の芸術とのコラボレーション、さらには現代劇への応用など、時代に合わせた新たな表現体系や演出が常に試みられています。

当センターでは変面の伝統や本質を広く伝えていくと共に、現代や後世にこの芸術が生き続けていくよう、芸術的価値の向上や飽くなき探究心を持ってこれからも活動をしてまいります。
無形文化財 宗家継承 中国変面芸術センター

